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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

過去と現在を行ったり来たり ~或いは李卓吾~

「北宋以降」の成功体験が通用していた期間、具体的には乾隆帝が死ぬまでの間、王安石や李卓吾には痛罵と軽蔑を投げつければ事足りていた宗族階級も、その成功体験に綻びが生じた段階で、両者の「業績」を見直すべきでした。

王安石が体制内改革ならば、李卓吾が奏したのは腐敗の極致に至りつつあった宗族階級に対する最初の晩鐘でした。

(本人としては問題意識を持ちながら、回答を回避しながら話を進めていますが、遼、金、元=大元のことはどうなんだ、この時代或いはこれらの支配下にあった宗族の身の処し方は如何と言う疑問が残っていることは承知しています)


密貿易、或いは窓口が一本化された貿易ほど、旨みのあるものはありません。

倭寇については、前期倭寇と後期倭寇に分類したりしますが、前期のしかもその初期だって「商売っ気」が無かった訳がありません。

元寇で酷い目に遭ったのですから、特に最初は報復と略奪があって然るべきです。

ですが元寇以前に民間貿易がなかったと言えば、そんなことはありません。

しかも元寇以降は中国(元)、朝鮮(高麗)と日本は断交状態ですから、この時期の貿易は危険ですが旨みは格別です。

そして倭寇と言う名の密貿易の中国側出資者が宗族でした。

後期倭寇を一網打尽にした責任者は、宗族に憎まれて朝廷(明朝)から死を賜っています。

李卓吾が言うまでもなく、この時代の宗族は醜悪で、それは乾隆帝に至って最高水準に達します。

そして中国と言う国家を道連れに宗族階級の転落が始まります。

(続く)

by 4kokintou | 2010-04-01 00:53
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