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北宋における新法党と旧法党の党争は、詰まるところ富の再分配の可否、既得権益に対する見解の相違、そして何より地域間対立(南北問題)ではないか、そう考えています。
王安石の新法については、別の読者の方に詳述頂いていますが、王安石が新法運動を打ち出した背景には、経済の低迷と冗官の問題があると思われます。 以前にも触れましたが、科挙で合格出来る及第者の人数と、科挙の頻度で、(高級)官僚集団の総勢は決まりますが、この数が北宋の比較的初期の段階で既に「定員(適正規模)」を超えていたらしいです。 定員が超過しても給料と肩書きは与えねばならないし、何よりも官僚の数に比例して胥吏の人数も増える計算になり、課税対象勤労人口の増加と生産性の向上、又は減税措置を講じないことには、宗族集団全体の欲求を満たすことは出来ません。 それと漸進主義と急進主義の是非ですが、結果論から言えば手を拱いて傍観するのが正解で、現実に採用された急進主義の結末は皆様ご存知の通り、醜悪なる派閥抗争を生んだだけでしたが、仮に漸進主義を採ったとしても、旧法党も馬鹿ではないですから、既得権益護持のために冒頭の段階から、まず確実に妨害することでしょう。 新法党の立場に立てば「対内宥和、対外強行主義」、旧法党に傾けば「対内武断、対外宥和主義」になります。 新法党の諸策は自作農を主な対象とした撫民政策、或いは殖産興業ですが、これが成功すれば国家にも国民にも経済的余裕が生まれ、そうなれば外交も強い立場に望めます。 対して旧法党的考えでは、農民を敵に回しますから、国内に無数の潜在的反政府勢力を抱えることになり、対外的に事を荒立てれば国内から崩壊しかねません。 加えて、これも宮崎教授の受け売りですが、仁宗の時代、北宋はかなり厳しい不況に襲われたそうです。 不況は既得権益も国庫も直撃しますが、国家財政より既得権益が優先される歴史的事例は決して少なくありません。 新法についてはもう少し熟慮の余地がありそうです。 漸進主義や急進主義より傍観主義が正解と申しましたが、これはある条件付きでの回答です。 本当は旧法党がすべきだったのです、改革を。 (続く)
by 4kokintou
| 2010-04-12 21:32
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