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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

「低次元戦争」の実態

日中戦争では、日本軍の傘下にあった満州国や汪兆銘を首班とする南京国民党政府の支配領域においては概ね「平穏」で「治安」も良く、国民生活も「安定」していました。

被害を蒙ったのは戦況が膠着状態に至って以降の、日本軍統治領域と重慶政府支配領域の接触面(つまり「前線」)、日本軍と中国共産党との接触面、そして国共の接触面に限られていました。(特に接触面の中国側の被害が甚大だったと思われます)

日本軍の統治領域がまだ平穏無事であるのに対し、蒋介石の重慶政府はその軍事力を維持するため限られた領域の統治民に対し重税を課していたうえ、空陸からの日本の攻勢に耐えねばならなかったのですから、相当な苦痛を強いられたと思われます。

救いは援蒋ルート(ビルマルート)を通じて軍事物資が送られていたことです。

中国共産党は、日本軍も攻勢に打って出る気にならない程の過疎地しか支配していませんでしたから、「戦いとは食うこと」でした。

しかもソ連が「庶出の異端児」中国共産党に全くと言って良い程援助せず、そのため文字通りの「その日暮らし」だったと推測されます。

ではどうやって戦費以前の「生活費」を獲たのか、ここにも「粛清」が絡んできます。


「粛清」には二種類あり、党内に於けるものと党外に対するもので、「党内粛清」は「スターリン派一掃」と言う思想闘争であると共に、「食い扶持を減らす」意味もあったと思われます。

「党外粛清」は、これは簡単で大地主から殺していけば良く、それを小作農に分配し、それら小作農から必要な年貢を巻き上げることになります。

ここで大事なのは、闘争を継続する限り、「大地主→中地主→小地主」と粛清が際限なく続くこと、中国共産党が(元)小作農から収奪出来るのは、かつての軍閥よりも少ない「税率」、つまり「ギリギリでも農業で食っていける」状況を維持する必要があります。


国共内戦がどれ程までに「低次元」か、日本の敗戦と共に国民党軍と中国共産党軍が始めたのは、撤退する日本軍の「武装解除」でした。

特に共産党にとっては日本軍の装備は垂涎の的、換言すればそこまで共産党軍の兵器は粗悪で数も不足していたことになります。

国民党軍の場合は、日本軍の「厄介な」兵器が共産党の手に渡らないことが第一条件と考えられます。

(続く)

by 4kokintou | 2011-02-07 22:54
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