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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

中国は「理解」可能か

山東省副省長を務める黄勝なる人物が「重大な規律違反」(=要するに無茶苦茶な汚職)で解任されたと、邦字紙では日経新聞が報じていますが、この人物は人民解放軍出身だそうです。

山東省と言えば、かつての「新疆王」王楽泉氏を思い出しますが、王氏は新疆ウイグル自治区党書記に就任する際、多数の山東省出身者を引き連れて行きましたし、現地で「屯田兵」と称する私兵を多数養っていました。

私兵と言っても立派な軍隊ですから、練兵には専門家(つまり職業軍人)があたる必要があり、中国陸軍はいまだ統帥権が確立されていないらしく、少なくとも「山東省(軍)閥」が存在することになります。

ですから王氏の時代の新彊ウイグル自治区は「(半)独立国」と称されていたのですが、中央に刃向かうには軍事力の裏付けが不可欠ですから、その「屯田兵」を擁する自治区と結託しながら山東省は党中央に逆らっていたと考えるべきでしょう。

「新彊王」が失脚した今、それでも山東省は中央に服さなかったのでしょうが、今回の解任劇が突破口になって胡錦濤政権による「山東閥崩し」が本格化するのではないかと思われます。

今回の一件で痛手を蒙るのはお坊ちゃまこと習近平氏、厳密にはその嫁さんの彭麗媛少将及びその後ろ盾の陸軍の一部勢力と思われます。

「新彊王」の後任が人民解放軍出身者であることは、陸軍による現地「屯田兵」の吸収を意味しますから、陸軍の本流は現政権に忠誠を誓った筈で、分かり易く言えば「手打ち」が成り立った筈です。

それに対し「山東省閥」は党中央と軍中央の両方に刃向かってきましたから、必然的に「反胡錦濤派」に与さざるを得ず、それは習近平国家副主席への接近となって現われます。

その国家副主席殿、ミャンマーではヒラリー国務長官が体制側の最高権力者と反体制側の象徴的存在の両方と面会していて、面子丸潰れです。

この様な芸当は後ろ盾である中国の了解なしに出来ない話で、と言ってもこの場合の「中国」とは胡錦濤国家主席のこと、にもかかわらずミャンマーの窓口は習近平主席ですから、話がややこしくなります。

つまり胡国家主席は習「副」国家主席に対し、自分が米国側に了解を与えていながら「習君、ミャンマーの件は一体どうなっているのかね、宿敵米帝に土足で踏み込まれるとは何たる醜態かね」と言い得る立場にありますし、今回の山東省の件も然り、これで北京周辺に敵対勢力は存在しなくなります。

当然、遠くない将来に山東省党書記の首は飛びますし、「習君」の周辺から崩されることは必至です。

(続く)

by 4kokintou | 2011-12-03 00:05
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