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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

権力の空白

北朝鮮は「知識人の玩具兼金の成る木」であるらしく、映像媒体に出演しては言いたい放題です、それは構いませんが「少しは予習し、自分なりの意見を調えてから喋れ」と言いたくなります、完璧に「口開けて はらわた見せる ざくろかな」(イザヤ・ベンダサン)状態ですから。


世襲制の良い所は権力(と権威)の空白を生まないこと、国内に複数の権力が並立するのは困難な点が挙げられます。

その典型例が日本で、昭和天皇のご逝去の折、今上天皇即位の儀式が真先に行わ、日本国及び国民統合の象徴の座に空白は生じませんでしたし、その権威と権力も委譲され、国事行為と言う天皇にしか許されない「権利」行使にも支障が発生する隙が生まれませんでした。

北朝鮮の場合、権力の頂点に立ち得る存在は故将軍様の三人の息子ですが、将軍様が三男の大将様を生前の段階で後継者に指名していた以上、そして次男を三男が保護下に置き、長男が中国を流離っている以上、潜在的反対勢力には大義名分もその旗頭もありません。


国家と言う組織はその構成員の大半が「食うや食わず」でも成り立ち得ることは、清朝(=大清)滅亡後に軍閥が跳梁跋扈した中国、同じく大躍進政策や文化大革命時の共産中国、別の国ではスターリンが飢餓輸出を断行して数千万人が餓死乃至は傷病死した1920年代のロシア、日本の歴史を振り返れば応仁の乱以降で戦国大名が成長するまでの無政府状態の時期が証明してくれます。

しかも「服喪期間中」にことを荒立てるのは、あの「儒教風共産主義国家(確か北朝鮮の公式見解では、同国は社会主義でも共産主義形態でも無かった筈ですが、それはさておき)」では最大のご法度ですから、その間に権力基盤固めに成功すれば何とかなります。


中国の安全保障上、朝鮮半島を何らかの形で支配下に置くことは地政学的要請ですが、南北朝鮮(南朝鮮は韓国のこと、これでも保守系論客を自称)いずれもが、形こそ違え中国に刃向かっている状況にあり、それを中国の権力者が許すはずがありません。

「援助漬け」で身動きが取れなくしている北朝鮮はまだしも、日中に対し高圧的態度で臨み、内政の失政を転嫁する姿勢が濃厚な韓国現政権に対する中国側の切り札が、例の「韓国系債券大量買付け」と「あの空母」です。

まだ正式名称も貰えず、従って就航したと発表して貰えない空母ワリヤーグ、報道によれば四度目の試験航行に出発したそうですが、おそらく渤海から出ていないと思われます。

ただ渤海を出れば黄海で、黄海は朝鮮半島西側の海域です。

その黄海(と言うか朝鮮半島沿岸)で中韓の漁船が漁場を巡って争っていますが、仮にこれまでの中国側漁船を「悪質な魚泥棒」だとしても、オンボロ空母(とその護衛艦)が黄海に顔を出した瞬間、「国家公認の悪質な魚泥棒」へと変貌します。

新たな朝鮮戦争の口火を切りたければ、韓国軍はその空母を攻撃、轟沈させれば良いと言う結論になります。

(続く)

by 4kokintou | 2012-01-10 16:43
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