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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

太子党の正体

いずれ次期中国政権の顔ぶれを予想したいと考えていますが、候補者を選別するうえで今回の薄煕来氏の一件は、何がしかが示唆を与えてくれるのではないかと思われます。

要は「太子党とは如何なる存在意義を持つ人的集団なのか」、「胡錦濤国家主席とその周囲は今後も太子党の存在を許すのか」と言う問題に逢着します。

(相変わらずWikiにはお世話になりっぱなしですが、今回は本日=6月7日付日経新聞朝刊記事「重慶、民営育成に転換」をご参照頂ければ幸いです)


小誌推測が正しければ、習仲勲元副総理(故人、習近平氏父親)は陝西省を根城とする軍閥(私兵集団)の領袖、薄一波元総理(同左、薄煕来氏父親)も雲南省軍閥の長であり、現地軍閥からすれば太子党は「我等親分のお坊ちゃん」な訳です。

そして両元総理とも早くから中国共産党に入党し軍事行動に従事していますが、これを有体に言えば「食い詰め者」です。

その食い詰め者と仲間達が、その動機の如何は兎も角、共産党に入党し時代を経て中国共産党が天下を取ったことで支配者の側に回った「食い詰め者とその弟分達」の子弟が今日の太子党ではないか、そう考えられます。


この集団の思考経路の特徴は、「自分達は革命を成就した階層の属する、(本誌で言うところの)革命宗族だから、綺麗事に終始して汚い話は全部裏方=反社会的勢力に任せる」傾向が強く、それから共産中国建国(と言う名の「蒋介石追放劇」)に英国が深く関与していた経緯から、英国(系諸勢力)との結びつきが強い点が挙げられます。

換言すれば、反社会的勢力と結託していますので、江沢民に代表される上海閥(=裏社会系宗族)と親和性が強いのですが、太子党は内心、裏社会系宗族連中を心から軽蔑している筈で、上流階級意識が強烈なのが特色とも言えますし、太子党=革命宗族と、上海閥に象徴される裏社会系宗族を結びつける役割を果たしていたのが英国と言えます。

つまり英国からすれば、中国における利権を簒奪する蒋介石は万死に値する一方、革命が成就した瞬間に共産主義中国を国家として承認した程、共産中国は英国にとって旨みのある存在だったと言えます。


毛沢東を誉めるとすれば、中国共産党内(むしろ「内外」か?)の諸軍閥(=食い詰め者、或いは「一旗(挙げてやろうと狙っている)組」)を統率する一方、裏社会を掌握していたからこそ「建国の父」になれたのでしょうが、英国との窓口ではないですし、スターリンは徹底的に毛沢東を毛嫌いし蒋介石に与していましたから(おそらく大中華主義の毛沢東が「外蒙古」を要求し、小中華主義の蒋介石は少なくとも全土統一まで「外蒙古」返還を口にしなかったため)、ソ連が共産党中国成立に手を貸すわけがありません。

この英国との交渉の窓口(渉外責任者)が誰なのか、これが分かれば「国共内戦で圧倒的不利な中国共産党が勝利した理由」は解明出来ます。

「本命周恩来、対抗陳雲」と言う文章が脳裡でこだましているのですが、一層の検討が必要と思われます。

(続く)

by 4kokintou | 2012-06-08 00:18
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