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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

訃報その他

「人民日報」文芸欄「大地」編集長の徐懐譲氏が飛び降り自殺、長きに亘って患っていたとの由ですが、鉄鋼メーカー「首鋼集団」に1年間在籍の後に人民日報文芸部に入社と言う、日本人的感覚からすれば風変わりな履歴の持ち主で、しかも1999年から2年間、河南省虞城県の党副書記に就任、実際に赴任したかどうか走りませんが人民日報を2年間離れています。

故人を謗るのは趣味ではありませんが、中国の公式文書から消えてはいるけれど、現存している言葉に「コネ(伝手)」と「官場」があるのではないか、個人の履歴から察するに人民日報の椅子は予め用意されていて、人事の関係で首鋼集団に腰掛けで1年、それから箔を付けるためでしょうか、地方の党副書記に就任して再び復職すると言うのは、ちょっと分かりづらいです。


胡錦濤政権の謳い文句と言えば「科学的発展観」、その定義は説明を読んでも小誌には理解不能ですが、我田引水を承知で忖度すれば、「不毛な毛沢東時代から、国家修繕気期とも言うべき鄧小平時代を経て、本来の正常軌道に戻りつつある」と解釈しています。

ただ「懲りない」中国人は同時に「晦渋」或いは「持って回った表現」が大好きな人間集団で、例えば北京週報に掲載された「中国は上と下が連動する全方位改革の時代に入った」と言う論説は、部外者には何を言いたいのかさっぱり分からないけれど、分かる者(=当事者)には一読して腑に落ちる仕組みになっていると思われます。

そして私見ながら、「科学的発展観」を明言するか、実質的にそれを支持する言動を示すことは、現政権への服従の意を示すことになり、同時に「毛沢東思想(と言う名の利権)の流れを汲む勢力との訣別」を宣言したことになり、この論説は「科学的発展観」と言う用語こそ使っていませんが、鄧小平を引き合いに出したりしていますので、「本気で推進宣言」ではないかと推測しています。

ですから「科学的発展観 習近平」と入力してグーグルで検索しても、現職の国家副主席が科学的発展観を積極的に推進している印象を受けませんし、そもそも「禅譲」が成立するなら権力の一部を継承してもおかしくないのに、それをうかがわせる情報や記事は皆無と言って良く、習近平氏は「科学的発展観」の範疇外に置かれていると考えざるを得ません。

小誌はかねてから無謀(?)にも、「習近平後継」は有り得ず、李克強次期政権の誕生を予想していますが、仮に習氏が胡錦濤氏の後を襲ったとしても、定員九名の政治局常務委員会、それを含め同15名の政治局の殆どが「団派」こと中国共産主義青年団(共青団)出身者か、そうでなくとも同じ抱負を抱く者で占められる公算が非常に大きく、加えて自らの後見役として「史上最強の元老」胡錦濤氏が睨みを利かせることになります。

そして2013年の政治課題は「汚職追放」、「業界再編成」、「地方自治体政府隠れ不良債権摘発、整理」、そして「年金制度改革(と言うか穴が空いた部分の取り繕い)」、軍閥系太子党(=革命宗族、世襲集団)の頂点に立つ習近平氏は「身内を切れ」を言われているのに等しいと考えられます。

ですが放置すると共産党支配は壊滅し、後に続くは無政府状態と、党幹部と言う名の世襲貴族に対する国家規模の報復、「逆文化大革命」です。

それを抑えつけられるだけの力量が「習近平政権」にあるのか、そもそも10月初旬の党大会までに習氏の周辺に仲間が無事で残っていられるのか、疑問を持たざるを得ません。

9月に中国で大事件があるのではないか、それが今の小誌見解です。

(続く)

by 4kokintou | 2012-08-24 23:44
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