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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

日経・北京・島田学

本日(8月31日)日本経済新聞朝刊に「習総書記、李首相固まる ~中国新体制、10月にも決定」の記事が一面を飾りましたが、傘下のテレビ東京すら扱いが小さい(と言うか皆無)事実を踏まえると、日経も「鼻薬」か「お姉ちゃん」に屈したのかと思ってしまいます。

見出しの根拠が、北京滞在中のメルケル独首相が30日に、温家宝総理(69歳、胡錦濤国家主席も同い年)と会談後、習氏と李氏の紹介を受けて個別に会談したと言うのですが、温家宝総理は「今回はドイツとの最後の協議」で「未来へ引き継ぐ重要な役割がある」と言ったとの由。

おまけにその7面に次期政権(=政治局常務委員)の顔触れ(敬称略)が記されていますが、「当選確実」は習近平(59歳)、李克強(57歳)、王岐山(64歳)、李源潮(61歳)の4名、「有力」が張徳江(65歳、副首相兼重慶市党書記)、劉雲山(65歳、党宣伝部長)、兪正声(67歳、上海市党書記)、汪洋(57歳、広東省党書記)、劉延東(64歳、国務委員)、張高麗(65歳、天津市党書記)だそうな。

政治局常務委員の定年は就任時68歳以下、話を鵜呑みにすれば凄まじい「高齢者ヨレヨレ政権」になってしまいます。

参考までに小誌の次期政権予想は、


第一位:李克強「国家主席、国家中央委員会主席」兼「「党中央委員会総書記」
第二位:王兆国「全人代委員長」
第三位:王岐山「国務院総理」
第四位:劉延東「政協会議主席」
第五位:令計劃「党中央精神文明建設指導委員会(思想統制、異端審問)」
第六位:李源潮「中央書記処第一書記」
第七位:汪洋「中央政法委員会(諜報、公安、警察、検察、司法管掌)」
第八位:何勇「党中央規律検査委員会書記(所謂「汚職糾弾委員会」)」
第九位:→張徳江「筆頭副総理」


変更するとすれば、第二位に「習近平全人代委員長」を入れます。


そもそもこの日経の一報のいかがわしい点は、何故米国ではなくドイツかと言うことで、要人の往来がないのなら兎も角、9月4日と5日にヒラリー米国務長官の訪中が28日の段階で決まっています。

後継人事を話すのであれば超大国米国が最優先されるべきで、温家宝総理の言動が「本心」であれば唯一の超大国の面子を潰したことになります。


中国周辺情勢を追う限り、どうしても「習近平後継」と言う答が出ないので困っています。

誰か小誌に懇々と諭してやって欲しいのですが(苦笑)。


例えば日朝非公式会談ですが、舞台は北京ですから中国が首を縦に振らなければ出来ない協議です。

何も取り柄も手柄もないが、「金で方をつける」のだけは得意な民主党政権の総選挙対策と言う日本側の事情はさておき、中国が北朝鮮に日本との接触を認めたことは、北朝鮮の求めに中国側が応じたからで、つまり北朝鮮の三代目は「今の」中国政権に頭を下げたことになります。

「今の」政権に頭を垂れるのが嫌なら、「次の」政権誕生まで先延ばしすれば良く、要は三代目政権は中国の指導下にあって日本と非公式協議に入っています、「引き延ばすだけ引き延ばして最後に破談させよ、本格交渉は日本の民主党政権瓦解後」と言う厳命を受けながら。

多分、日本の外務省もその辺りは心得ていると思われます。

そして「引き延ばすだけ引き延ばす」のであれば、「今の」政権も「次の」政権も同じ体質で無ければならず、胡錦濤氏と習近平氏が「同じ体質」の持ち主か、贅言を要しません。


ミャンマーでは大統領が「守旧派」を一掃、そもそも中国とのダム工事案件をミャンマーが取り止めにしたことに端を発し、当時の重慶の「牢名主」薄煕来氏、更にその後ろに控える習近平氏の必死の説得工作も功を奏さず、ダム案件は沙汰止みとなりました。

今回のミャンマーの改造人事で、そのダム利権の「残党」が一掃されたのですから、習氏の顔に泥を塗ったことを日経新聞バンコクの高橋透記者は伝えています。

日経の中国支局はどこか頓珍漢で、薄煕来氏が習近平氏暗殺を企てたからどうのこうのとか、「見てきた様な嘘を言う」を地で行くことが最近多いです。

「落日の日経」なんて記事を掲載されないで下さいね、べりタスに。

(続く)

by 4kokintou | 2012-08-31 23:53
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