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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

中国に生まれると言うこと

李建国政治局員(兼全人代副委員長)が、泣く子も黙る党中央紀律検査委員会の取調べを受けているそうで、胡錦濤陣営はこの紀律検査委員会(書記は鬼より怖い王岐山政治局常務委員)と(党中央)宣伝部(部長は団派本流の劉奇葆氏)を足掛かりに、今の党指導部を遠回しに締め上げる考えなのでしょう。

李建国氏は李瑞環元政治局常務委員の秘書を務めたこともあり、ひょっとして同一宗族に属するのではないかと考えていますが、李瑞環氏が「団派本流=共青団の中央書記処書記」を務めた経歴があるのに対し、李建国氏は団派との接点は見当たりません。

この二人の「李さん」は、苗字が同じと言う他に、天津と関わりが深いことが挙げられ、李瑞環氏からは天津市の領袖かの様な印象を受けますし、山東省生まれの李建国氏は天津市を皮切りに陝西省、山東省で経歴を積んでいます。

因みに李瑞環氏を抜擢したのが胡啓立氏(当時の天津市党書記)、後に政治局常務委員にまで登り詰めますが、解任の憂き目に遭った「胡さんの系譜」を紡ぐ人物の一人です。


話が横道にそれますが、団派の中でも「胡さん」と「李さん」はどうもしっくり行っていない感触を受けます。

そもそも中国人に一致団結せよと言うのが無理な話で、それでも団派(或いは「胡錦濤主義者」)は結束が固い方ですが、中国共産主義青年団の中央書記処書記に選ばれた経歴を持つ「団派本流」にしても、意外といがみ合っているのではないか、結局は胡錦濤「長老」の腕力と、温家宝総理や王岐山氏に代表される「非団派系胡錦濤思想信奉者集団」の存在が、全体の結束に寄与しているのではないかと思われます。

因みに温家宝氏も天津に縁の深い人物ですが、「李さん(李瑞環)」系ではなく「胡さん(胡啓立)」系に近いのではないかと推測しています。


話を李建国政治局員に戻して、記憶違いでなければこの人物は以前、北朝鮮の窓口になろうとして訪朝代表団長として強引に割り込んで人物、ですが北朝鮮のことは王家瑞対外連絡部長が仕切っていますので、李氏が入り込む余地は無かった模様です。

それにしても党中央紀律検査委員会の動きは衰えを知らず、薄煕来氏はさておいて、今回の李建国政治局員に周永康「前」政治局常務委員(「前」中央政法委員会党書記)、それから劉雲山政治局常務委員(兼中央書記処書記)の秘書も取り調べの対象になっている筈で、今後暫く、汚職摘発が相次ぐかも知れません。


その中国で胡錦濤「長老」の政治的「遺言」とも言うべきものが業界再編成で、あらゆる製造業分野で余剰生産能力を保有する中国としては「総論賛成、各論反対」な訳です。

中国で「一生楽して暮らす」ための入場券は共産党員になることですが、それだけでなく、然るべき職場の「党書記」や「党副書記」になる必要があります。

要はどれだけの子分にその椅子を用意出来るかが政治ボスの力量ですが、業界再編成は習総書記を含む今の政治局常務委員も賛成、了承している案件ですから話がややこしいです。

盗人の頭目に岡っ引きをさせる様なもので、どうなるか見物ですが、確実に言えるのは今の中国は増産路線に傾いていること、業界再編成と正反対の動きですが、業界再編成に備えての「実績作り」とも解釈出来ます。

胡錦濤「長老」とその周辺は、「習近平後」を見据えている、これが小誌の結論です。

(続く)

by 4kokintou | 2013-01-28 23:14
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