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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

国家主席(総書記)としての「器」

今日(5月31日)から外遊に出かけた習近平国家主席ですが、ふと思って調べてみると人民網日本語版の見出し記事は、「習近平主席が夫人を伴い米州訪問へ出発」とあり、何も夫人同伴であることを見出しで伝えなくとも良いだろうと思うのですが、彭麗媛陸軍少将のご機嫌を損ねることは罷りならないようです。

習総書記は昨年も副国家主席時代に訪米していますので、これで2年連続の米国訪問になるそうですが、そんなにオバマ大統領と会わねばならないのか、それだけ昵懇なことだけは理解出来ます。

そんな暇があったら国内の余剰生産能力を何とかしろよと言いたくなりますが、表向きは計画経済なだけに承認された案件が取り消しになることは皆無に近く(その意味で鉄道省の解体と関連公共事業の削減は画期的)、一旦稼動を始めたら最後、ノルマ達成のために稼働率を最大限に上げますし、そもそも計画の段階で生産能力を100としていても、出来上がれば150になっていることも稀ではありません。

査定基準が「担当地区のGDP成長率」と「税収」である以上、国営企業の生産能力を膨らませて見かけ上のGDPを膨らませ、併せて税収も増やすしかなく、其処には資本主義の需給の法則は見当たりません。

中国がナイロンを大増産しているのも、その分野が有望だからでなく、認可を受けた工場が次々と新増設に走ったからで、幸か不幸か円安(=人民元高)の日本は被害が軽微なのですが、韓国や中東勢は輸出攻勢の直撃を食らっているそうです。

もっと深刻なのが造船で日経もあっさりと「赤字受注」と言う表現を使っているくらいで、しかも中韓だけでとんでもない余剰生産能力を抱えているのに、其処に円安を携えながら日本が参戦したものですから泥仕合の様相を呈しているそうです。

特に辛いのが韓国で、1年前から20~30%値引きしているそうですが、これはドル建ての話で、この間にウォンが対ドルで10%近く値上がりしているので、実際は最大で四割程度の手取りの減少を余儀なくされていることになります。(これに関連して、韓国系財閥の一つSTXグループの財務状況には目を光らせる必要があると思われます)

問題は中国で、問題企業に資金補給したり、賃金の支払いを肩代わりしたりと、対策に大わらわの地方政府ですが、前任者の胡錦濤指導部の時代に出された「来年(2013年)の方針」は、地方政府の汚職追及と基金査察、その方針に従って「鬼の王岐山」は摘発に奔走していると思われます。

遠からず地方政府が負担に耐え切れず音を上げる、では中央が地方を救済するかと言えば、全ての地方政府の尻拭いをする羽目になりますが、助けてもらうには実態を全部開示しなければならず、それは当該地方政府の役人及び党要人にとって文字通り「死」を意味しますから、闇に葬る形で不良債権や欠損を処理しなければなりません。

「政治の季節」に突入した中国、遠からず「決着」の日がやってきそうです。

(続く)

by 4kokintou | 2013-05-31 22:30
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