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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

獅子身中の虫

中国の権力闘争も壮絶ですが、お隣の韓国の政争も負けず劣らずで、「反財閥」を標榜する朴槿恵大統領と、標的にされた財閥及びそれと一心同体と言えるほどに癒着する官僚組織、小誌はこれを「財官複合体」と称していますが、両者の争いは抜き差しならぬところまで来ている模様です。

大統領側が「隠し子疑惑」で検事総長を辞任に追い込み、廬武鉉政権時の女性首相に実刑判決を言い渡し、最近では2007年の南北首脳会談の議事録が削除されている事実を暴露するなど、攻勢に出ているのは事実で、複数の財閥関係者が逮捕され、或いは実刑判決を受けているのも現状です。

対する財官複合体も黙っている筈が無く、与野党を問わず浸透しているその影響を駆使していまして、日本への嫌がらせみたいな法案を提出している与党議員は紛れもなく「財官複合体」の一員ですし、大統領の側近でありながらその「公約違反」を責めて辞任した保健大臣は、さしずめ「複合体」が忍ばせておいた「時限爆弾」、或いは忍びの世界の用語を使えば「草」と言うことになります。

ここに至るまでの朴大統領の人生は、裏切りを見続けることを運命付けられた半生であり、父親(朴正煕元大統領)は部下に銃殺されると言う最悪の形で裏切られましたし、その後も手の平を返されたような体験をした筈で、最高権力者も殺害されればただの骸、その家族に誰も救いの手を差し伸べません。

先代の朴大統領は財閥の育成に力を入れ、官僚機構の整備に尽力しましたが、明言していないもののお手本は言わずと知れた日本、父親は当時の大日本帝国陸軍で中堅将校にまで上り詰めた人物、作りたかったのは日本型財閥であり日本式官僚機構であったことは明々白々、ただ日本人の精神を持った人材が育たねば組織に魂が入りません。

ですが韓国人の選んだ道は最も安易な「反日」、それは良いのですが反日を叫べば叫ぶほど日本から遠ざかることになりますので、財閥も官僚機構も「近代」とは縁の遠い歪なものになり、国家と国民から浮遊した癒着複合体に成り果てました。

ですから国民の求める財閥でも、国民の求める官僚機構でもない奇怪な存在同士が絡み合って出来たのが「財官複合体」で、日本を手本にしても「近代の精神」を注入しなければ「近世=前近代型」組織に変質せざるを得ないのです。

おそらく父親の朴大統領はその点を理解し、己の対日感情は押し殺して日本を向き合ったと思われますが、その姿勢が変質し乖離しつつあった財閥と官僚機構と相容れなくなって殺害に至ったと推測されます。

時代を経て亡き大統領の愛娘が選挙に打って出た際、朴槿恵候補を支援したのは高齢者、つまり大日本帝国統治下の記憶があるか、その後に生まれても親から植民地時代の様子を直接教えられた世代で、その当時は日本が作った建造物や施設も数多く残っていましたから、親の教えを裏付ける材料に事欠かない環境に育った世代と言えます。

その年齢層の有権者が導き出した結論は、財官複合体がのさばる今の政治よりも、統治下あるいはその流れを汲む父親の大統領の時代の方が優れている、少なくとも国家を国民を食い物にすることで成り立っている財官複合体に対して拒否の意思表示をすべきであり、極論すれば「皇民化」は正しかったと言うのが、高齢者を中心とする有権者の判断と言えます。

口が裂けても言えないことは承知のうえですから、現職の朴槿恵大統領としては慎重に対日接近を図らねばなりませんが、日本の仏像を返還する意向を明らかにしたのも、何だかんだ言って今度こそ「正しく」日本を手本にする必要性を感じているからで、それは裏を返せば奇怪な複合体の解体を意味しますから、両陣営には妥協の余地が存在しません。

ただ日本も罪作りであることは間違いなく、「近代化に成功し列強に飛躍する」ための必要条件を説明しなければならないのに、日本人が「西洋列強」の物真似から始まり、それに終始したと勘違いしているから、中国や朝鮮が誤解するのも無理はありません。


中国が北朝鮮向けの「大量破壊兵器の製造に繋がる」物資の輸出を全面禁輸、研究者の胃を満たすカップラーメンだって、解釈次第ではそれに該当しますから、要は意のままにならぬどころかあからさまに無視しつつある北朝鮮に対する、習近平派の「嫌がらせ」の域を出ず、しかも胡錦濤「長老」側が怠りなく北朝鮮を支援していますから、嫌がらせも何の効果もありません。

その動静が注目されていた周永康「長老」(前政治局常務委員)ですが、その健在ぶりが確認されたとか、と言っても母校の石油大学で一席ぶったそうで、根城もいいところでしか出没出来ない様では相当危ういです。

「社会主義市場経済」を導入する際に、中国人はお手本の日本と如何に解釈し、そして「誤読」していったかは次号にて。

(続く)

by 4kokintou | 2013-10-03 00:45
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