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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

撤退

明治HD(明治製菓)が中国の粉ミルク事業から撤退するとのこと、表向きの理由としては「日貨排斥」(日本製品不買)を挙げていますが、合弁先と揉めて採算が取れなくなったのが真相と思われます。

薄熙来元政治局員の控訴審で同氏の無期懲役が確定、これで薄熙来氏は名実共に「過去の人」になりましたが、「次の始まり」でもあります。

薄無期長期囚は「太子党=革命貴族の子弟」の出身、その中でも「血筋」は良い方で、それぞれ子飼いの軍閥を従えていることから、その点では習近平国家主席と甲乙付け難いと思われます。

似た環境で育った人間同士は得てして反りが合わないもの、両氏の不仲は半ば定説の様に語られていますが、仲が良かろうが悪かろうが、一方は刑事犯罪者で他方は逮捕時に政治局常務委員、明暗が分かれるとはこんな時に使うのでしょうか。

ただ薄熙来受刑者からすれば、今の国家主席殿を含め複数の党最高幹部の醜聞を知っていても不思議でない立場にあり、その点に関し黙秘を貫くことで「取引」に持ち込みたい、有体に言えば減刑の材料にしたいとの思惑があったと考えられます。

黙っているから罪を軽くしろと言うことですが、裏を返せば減刑が叶わぬならば洗いざらい喋るとの脅しで、だから救いの手を差し伸べる連中が出て来ると言うのが薄熙来氏の読みだったでしょう。

ただ残念なことに、習国家主席(党総書記)やそれ以外の「首筋の寒い」要人には、裁判に容喙するだけの政治力が無く、手を拱いて公判の模様を眺めているしかありませんでした。

薄熙来元政治局員が取り調べる側と「手打ち」していないことは、一審で徹底抗戦した事実からも、控訴までしたことからも明らかで、同氏の妻や元側近は事前に「司法取引」しているから、全て仰る通りで私が全部悪うございますと言って比較的軽い刑で済ませて貰っています。

とすると薄受刑者が本格的に「口を割る」のはこれから、自力で情状酌量を勝ち取る方法はただ一つ、今まで黙秘していたことを供述する、これしかありません。

取り調べには党中央規律検査委員会、国務院監察部、場合によっては最高人民法院が総出で対応することが予想されます。


最新鋭と自ら誇るだけあって、中国海軍空母「遼寧」にはエレベーターが設置されていて、決して米軍F-15戦闘機のパクリなどと思ってはいけない「殲-15」の収納の様子が、人民網日本語版からの引用の形で北京週報に掲載されていました。
(http://japanese.beijingreview.com.cn/zxnew/txt/2013-10/23/content_573907.htm)

「殲-15」は翼が折れ曲がるんだと感心しつつ、中国人は意外と抜けているところがあるから、見る人が観れば軍事機密てんこ盛りなのではないか、素人の感想ですが自慢のステルス性に盲点がある様な気がしますが、この点についてもご教示を賜りたく。


近代と近世を比較するうえで、中世と近世の違いに言及していますが、その違いを小誌は「頭は下げる」、「命令は聞く」、「家柄を誇らない」の三点に集約しました。

日本はその点で気楽なもので、帰化人(最近は「渡来人」とも言うそうな)は別にして、古事記と日本書紀(日本紀)が全ての氏族を天皇家の末裔か支配下の部族としたため、家柄を誇れば誇るほど天皇家を持ち上げることになる、皇室よりも古い家柄は存在しないし、殆どの場合、天皇家に繋がってしまうと言う、まさに「万世一系」です。(この点で沖縄は異なる価値観を持つことになります。因みに小誌はひょっとすると坂上系の帰化人の血が流れているかも知れず、面倒臭いので調べていませんが、それが正しければ東漢氏に遡りますので皇室より由緒あるかも知れませんが、我ながら爆笑しながら書いていますのでこの辺りで止めます)

「北宋以降=近世」を絶対皇帝制と定義し、中世と違うのは皇帝とそれ以外の臣民の間に隔絶した距離があり、従って簒奪は有り得ず、それに故に「放伐」はあっても「禅譲」が無いのが近世、逆に「禅譲」が主流で「放伐」は少数派と言うのが中世と言う見方を拝読した記憶があります。

「禅譲」を言い換えると「体制内クーデター(政権奪取)」或いは「宮廷内革命」、禅譲は後漢から魏への例が歴史上の最初で、南北朝時代の南朝では基本的に禅譲、但し直後に必ず前王朝族滅付きですが。

隋も北周から、唐も隋からの禅譲、その唐も禅譲の形式を踏んで滅びた筈です。


一方、確かに「北宋以降」では禅譲は絶滅し放伐が政権交代の手法となりますが、「体制内クーデター(政権奪取)、宮廷内革命」だけは止めようと言うのが唯一の総意と言うことになり、つまりは「頭は下げる」ことを覚えたのがこの時代以降と言うことになります。

(続く)

by 4kokintou | 2013-10-25 23:40
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