現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou
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周恩来に対する中国人の本音

周恩来ほどの「国家に尽くした偉人」の命日が近づけば、中国系報道機関は事前にその旨を知らせると思っても決して頓珍漢ではないと思うのですが、1月8日の命日の記事を見つけたのは北京週報、それも人民網日本語版から引用の形を採っていますが、人民網も中国新聞網なる報道機関からの孫引きです。

写真をみても二十人に満たない参列者数、あまりにも寂しげです。

結局、今の政治の表舞台に立つ全ての政治集団から、周恩来は尊敬されていないか、否定的な評価を与えられている、その様に考えざるを得ません。


中国の主な政治集団(派閥)をどの様に分類すべきか、そのことが既に難問ですが、李克強国務院総理に代表される団派(共青団=中国共産主義青年団)、そして共青団とは関係が薄いものの「胡錦濤思想」に共鳴する人間集団(好例が王岐山政治局常務委員)を一括りにして、胡錦濤「長老」陣営を呼ばせて貰っていますが、中国には無数の派閥が存在します。

ただ中国全土に人脈と言う網を張っているのは上述の団派と所謂「太子党」、これが二大政党(二大派閥)なのですが、分権傾向を強く求心力より遠心力の方が強くなりがちなこの国では、地方閥(上海閥とか、小誌が申すところの「遼寧・大連閥」とか)や利権閥(石油閥等)と言った地域政党(?)や職能別政党が存在します。

そのいずれもが周恩来に触れたがらないのは、過去に煮え湯を飲まされたから、分かりやすく言えば「二股を掛けられた挙句に、その時々に都合よく利用されたから」だと思われます。


中国には「国家の第一人者になれる派閥」と「なれない派閥」がある、それが最近の小誌見解でして、「なれない」方から列挙しますと軍部、旧胥吏階級、そして上海閥を除く地方閥と利権閥です。

まず軍部から眺めてみますと、今だに群雄割拠と言えば聞こえは良いですが、地方軍閥が人民解放軍の名前を借りて存続しているのが現実、そもそも人民解放軍は中国共産党の軍事部門であり、つまり政党と言う「私的存在」が保有する「私兵集団」であって、決して「国軍」ではありません。

付言すれば、近代国家において軍隊と言えば「国軍」、米国は国軍も州兵も擁する珍しい存在ですが、それでも「私兵」は存在しません。

つまり軍部が権力を握った瞬間、辛亥革命以降の無政府状態が出現する訳で、しかも元をたどれば「食い詰め者」と「雑胡=華人なのか異民族との混血なのか異民族なのか、分からなくなっている人間集団」が構成員ですから、特に「北宋以降」は文民統制を最優先課題としてきました。

ですからこの寄り合い所帯に権力を渡すことは出来ない、実質的には兎も角、鄧小平が最高権力者にならなかったのは「軍人」だと解釈すれば説明がつきます。


次に私見によれば、旧胥吏階級を束ねる存在で、その代弁者であったのが周恩来、但しこの人間集団は、実務に長けていても軍事力を有していませんし、軍部を指揮する権限を持ったことがありませんから、この集団からも国家の第一人者を輩出することは不可能です。


ここで想起願いたいのが帝政ロシア革命で、特に共産主義革命では「階級の抹殺」が不可欠であり、現に第一革命(ブルジョア革命)ではロマノフ王朝と貴族と言う「封建的支配階級」が、第二革命(プロレタリア革命)ではブルジョア階級が抹殺の対象になりました。

比較すると分かり易いのですが辛亥革命はブルジョア革命、但し死産であることは孫文がその遺言で認めている通りです。

1912年から一世紀以上かけて中国は何をしたのか、「受け皿なき、君主制から共和制への移行」、「蒋介石の追放」、そして「内ゲバ」です。

そして致命的なことに「プロレタリア革命」は実行していない、でも支配政党は「共産党」ですから、スターリンならずとも笑ってしまいます。

(続く)
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by 4kokintou | 2014-01-14 23:17

目指すは本丸

今年(2014年)の鉄道建設関連予算が4.5%減額されたと思ったら、鉄道建設大手国有企業の中国中鉄総裁が自殺(これを中国では「不慮の死」と表現するそうです)、江沢民「長老」のドル箱だった鉄道利権は解体されつつあります。

その江沢民「長老」に最も忠実だったと言われる周永康「長老」(政治局常務委員及び党中央政法委書記経験者)の周辺も騒がしくなりつつあり、同氏の子息が汚職容疑で拘束されただの、近く裁判にかけられためその息子は弁護士を探しているだのと言った話が飛び交っています。

ここで思い出されるのが令計劃統一戦線工作部(前弁公庁主任、中央委員、団派本流)のこと、弁公庁主任は秘書室長に相当しますから、党中央弁公庁主任と言えば相当な権力の持ち主ですが、令氏の息子が高速道路を暴走した挙句に事故死したことを咎められて、事実上左遷されたと噂されていますが、この話の真偽は兎も角、政敵の息子まで巻き込んで政争を繰り広げると言うのであれば、「やられたら、いつか絶対にらやり返す」を信条とする胡錦濤「長老」陣営のことですから、喧嘩を売った周永康「長老」は、何をおいても報復する必要のある人物だったと思われます。


北朝鮮では3月9日に最高人民代議員選挙が実施されますが、選挙と言ってもあってなきが如し、実質的に最高権力者の指名ですから、体の良い「粛清」です。

一説では既に100名以上が処刑されていると言われる今回の粛清劇、最終的に粛清の規模がどの程度にまで膨らむかは不明ですが処刑は3月8日まで、3月9日の選挙で立候補(=当選)出来なかった人物は罪一等減じられて命は奪われないものの、名誉剥奪のうえ収容所送りと言ったところが妥当と思われます。

そしてこれにて、北朝鮮側の受け入れ態勢はほぼ完了、後は日本側の出方次第です。


韓国では朴槿恵大統領陣営が司法と検察を駆使して官僚と財閥を追及、収賄罪に問われた原発運営会社「韓国水力原子力」の部長の裁判では、懲役8年の求刑に対し15年と4億円相当の罰金刑の判決が下りました。

財閥と官僚が癒着した「財官複合体」からすれば「その他有象無象の国民」は眼中になく、蚊帳の外の一般国民からすれば複合体の構成員は国家を私物化する国賊、困ったことにこの国の労働組合の実態は、その過激な言動とは裏腹に「複合体の用心棒」ですから話がややこしくなります。


党中央紀律検査委員会(書記は王岐山政治局常務委員)の発表によると、処分した党員の人数は2013年だけで18万人余り、前年比12%増で「汚職との闘いは新しい進展と成果を達成した」とのことです。

汚職撲滅を明言したばかりに「鬼の王岐山」の動きを牽制出来ない習近平総書記、臍を噛むとはこのことかとばかり後悔しているでしょうが、最終標的は御本人ですから、任期途中でも良いですから取引して勇退することをお勧めします。


その後の無責任で行き当たりばったりの行動には大いに筆誅を加えねばならないとしても、孫文が「革命の父」と呼ばれる理由はまだ理解出来ますが、毛沢東を「(共産中国)建国の父」と持ち上げたのは、中国国民にとって痛恨の選択でした。

中国共産党を主義主張や政治路線の観点から分析すると、必ず間違った解答を導くことになります。

階級闘争であれば、その階級の実態調査から始めるのが常道と思われますが、ロシアと比較すると分かり易いです。


(帝政)ロシア革命は、まず帝政(ロマノフ王朝)を打倒してブルジョア政権を樹立する第一段階と、そのブルジョア政権(ケレンスキー内閣)を倒して真のプロレタリア政権を打ち立てる第二段階に分かれますが、本来のマルクス主義と異なるのは、ブルジョアが成熟していないどころか帝政と癒着しているため、プロレタリアが第一段階のブルジョア革命を遂行達成するところにその特徴があります。

つまり最初の革命の段階では、政権はブルジョアとプロレタリアの「寄り合い所帯」、所詮は水と油ですし、第一次大戦の継続の可否と言う国家の運命を左右する問題で意見が分かれていましたから、戦争そっちのけで権力闘争で雌雄を決する必要がありました。

ですからロシア革命は常に「純度100%」、つまり革命前は「純度100%の帝政」、次は「ブルジョアとプロレタリアで併せて100%」、これは過渡期で「プロレタリア純度100%(これを「プロレタリア独裁」と呼びます)」に至ります。

ですからその後の反動を経て帝政関係者もブルジョアも壊滅、だから旧ソ連が崩壊した共和政ロシア革命の際も、君主制は選択したり得ず、健全なブルジョアも育たずに「新興財閥」と言う名の成金が、国家資産の払い戻しを梃子にのし上がってきました。

これに対し中国の革命は「不純物だらけ」なのです。

(続く)
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by 4kokintou | 2014-01-12 12:13

賜死

処刑された張成沢氏の細君で、金正恩第一書記の実の叔母にあたる金慶喜女史の死亡説が流れています。

或いは「心臓病で危篤状態」とか、例によって韓国系報道機関があれこれ言い出すので事実を突き止めるのに苦労しますが、共産主義と言う仮面を剥がせば、その下から出て来るのは「前近代」の素顔です。

北朝鮮が「金王朝」ならば金正恩第一書記は第三代国王、そして叔母の金慶喜女史は有力王族の一員ですが、亭主が「犬にも劣る」劣悪漢なのですから、その妻も無傷ではいられません。

中国中世史を紐解くまでもなく、高貴な人物でもその配偶者や親族が粗相を仕出かしたら巻き添えを喰らうのが常道、ですが血の繋がった叔母を「粛清」することは「金王朝」の否定にも繋がりかねませんので、こういう場合は「賜死=死を賜る」ことになります。

それでも命令に服さない場合は、(身分を落としての)幽閉、此処で思い出されるのが「江青裁判」で、本当は毛沢東を法廷に引きずり出して極刑を宣告するべきなのですが、それをすると「建国の父」を全否定することになり、それは中国共産党の自己否定にも直結しますから出来ない話なのです。

だから毛沢東は今でも名誉剥奪されていませんが、「実質的に全否定」せねば当時の中国は解体寸前でしたから、全土を無茶苦茶にした江青を筆頭とする「上海四人組」の他、「中国のべリア」康生や「人民解放軍のべリア」謝富治は死後に名誉剥奪されています。

死者に鞭打つ習慣が根付いているお国柄ですが(と言っても前近代では当たり前なのですが)、幾ら何でも「建国の父」毛沢東は処分出来ない、ついでに言えば国共合作で二股を掛けた孫文も「革命の父」ですから永久に鞭打たれることはありません、毛沢東と並んで真っ先に総括せねばならない人物なのですが。

江青一派にすれば「毛沢東の指示を護ってそれを遂行することのどこが悪い」と言うことになるでしょうし、理屈の上では江青の方に軍配が上がるでしょうが、毛沢東一派に狙い撃ちされた側からすれば収まる筈もなく、毛沢東夫人を「粛清」することで「暗に毛沢東を全面否定」するよりなく、だから判決が「死刑=賜死」なのは当然、悔い改める様子が無いから「無期執行猶予=永久幽閉」と言うのは、中国人からすれば分かり易い司法判断だったと思われます。

中国も北朝鮮も韓国も、表向きは近代化を果たしたと豪語していますが、内面は「前近代」のまま、中国は分かっているのですが中華思想が前近代で留まっている現実を受け入れることを許さず、韓国の場合は「日本と張り合うことが国是」となった挙句、日本を抜いたと勘違いしているところもあって、余計に近代への飛躍が難しくなっています。

ですから「無い無い尽くし」の北朝鮮の方が可能性としてはむしろ高いのですが、それが実現するとしても、「日(安倍政権)・米(大手金融資本)・中(胡錦濤陣営)・露(プーチン大統領派)・韓(朴「反財閥」大統領)」の全面支援が必要、要は近代化の実験装置なのです、北朝鮮は、先生が日本の。


日本の弱みと強みもこの点に現れていまして、「近代」への飛躍を果たしたばかりか、太平洋戦争であれだけ強かに叩かれても「現代」への移行に成功しつつある点は限りない強みなのですが、白人国家以外で近代列強にのし上がった国は皆無です。

逆に言えば、日本は近隣諸国を置いてきぼりにした訳で、東アジアを所狭しと暴れ回った挙句に、敗戦後の繁栄は何なんだと言いたくなるのも無理はありませんが、「日本はアジアなのか欧州なのか」と問われると最も辛く、正解は「有色人種国家近代列強」ですが、そんな下手物を欧米は同じ「列強」と見做したくはありませんし、東アジア諸国からすれば誠に忌々しい存在なのです。

つまり日米安保条約と言うか細い糸が日本繁栄の源泉なのですが、基本的に日本は孤立している、これが最大の弱みです。

故に日米安保を堅持しつつ、それを下敷きにしながら世界に少なからず存在する親日国を糾合しつつ、中国と韓国、それに北朝鮮に親日派を育てていく、そのための突破口が「安倍電撃訪朝、日朝国交樹立交渉開始」なのです。

(続く)
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by 4kokintou | 2014-01-09 12:31

可愛いところもある

ロシアの船舶が南氷洋で身動きが取れなくなった事態を受けて、最も近くを航行していた中国の砕氷船が救助に向かったのは良いのですが、その砕氷船も氷に包まれて航行不能に、詰まるところ、米国の砕氷船が遭難した中国籍砕氷船を、それから最初に救難信号を発したロシア船籍が救助されることになるのでしょうが、これを人民網日文版は「米砕氷船、中露科学調査船の救助に向かう」と報じています。

自国船が砕氷船であることすら隠す姿がいじらしいと言うか可愛いと言うか、でも頭隠して尻隠さずで、別の記事の見出しが「立ち往生の極地観測船雪竜号、7日から8日が脱出のチャンス」、何としても砕氷船とは言いたく無さそうですが、「極地観測船」で誤魔化しても駄目です、情報化社会なんですから。


福建省党書記の尤権氏の肝煎りで始まったのが「福建の改革・発展、ネットによる建議」、記事を読んでも要領が掴めないのですが、2011年の李克強副総理(当時)の訪朝に随行していますし、今回の建議とやらが「情報公開」に繋がるのであれば、尤権党書記も胡錦濤「長老」寄りの人物と言えます。


最近つくづく思うのですが、「歴史は記すものではなく作るもの」と言うのが中国人の本音ではないか、その様な感覚に囚われる時があります。

そして歴史は勝者によって綴られることを覚悟せねばならないものの、最初から結論を決めて記録するのも如何なものかと言うのが、中国に対する小誌の率直な苦言です。

例えば、中国の三大悪人と言えば、馮道、秦檜、それに李卓吾(汪兆銘を入れて四大悪人でも宜しいかと思われます)でしょうが、時代を超えて「変節漢、名教の罪人、売国奴」は憎まれるみたいです。

或いは清朝(=大清)で「鬼子六」と言えば初代恭親王、1860年の北京条約締結の当事者になったばかりに、「洋鬼子(西洋の蛮夷)」と結託する「道光帝の六男坊」と言うことで、こんな綽名が付けられてしまいました。

そもそも1860年の北京条約があればこそ、太平天国を滅亡に導くことが出来た訳で、それによって洋務運動が可能になり「中国史上最初(最後かも知れない)の近代化の好機」が訪れたのであって、北京条約が屈辱的と言うのであれば、少なくとも1840年以降の秕政を難ずるべきであって、ならば阿片に関して極端に寛容であった乾隆帝の治世も根本から見直すべきです。

恭親王本人は「守旧派」だったそうですが、大英帝国を筆頭とする西洋列強にこれ以上叩かれたら、清朝そのものが滅びると言う危機感があったと推測してもあまり的外れではありますまい。

馮道、秦檜、李卓吾、汪兆銘、恭親王と並べて分かりますが、中国人は「真犯人」を決して罰さず、ついでに言うと賈似道も悪評の対象の一人です。

責任を負わねばならないのは当時の最高権力者、近いところから言えば、蒋介石の抗日路線で迷惑するのは中国人当事者、それも比較的にせよ最も幸せだったのが日本軍占領下の中国人で、重慶政府統治下の民は「弾除け」に使われていたと思われますし、延安の中国共産党なんて誰も相手にしなかったのは、日本軍が敗北の瞬間まで主敵と見做したことは無く、それどころかスターリンのソ連が1937年に中ソ不可侵条約を締結していることからも明らかです。(この場合の「中」は勿論、中華民国。日華事変が勃発した直後に調印しているのですから、ソ連は日本に連戦連敗の蒋介石国民党政府を正統と認めたのです)

恭親王は既述しましたので割愛しますが、馮道も秦檜も「このままでは国家(或いは社稷)が滅びる」と言う危機感を持っていました。

ですが「歴史の勝者」にとって一般民衆の塗炭の苦しみに耳を傾けるのは無意味なこと、「最終的に勝てば良いんだろう」と言うのが「中国人の正しい歴史認識」で、その成功例が毛沢東、失敗例が岳飛と言うことになるでしょうか。

だから中国人の歴史観は全く変化していない、変化を強いられると苦痛に感じますし激しく反発しますが、気合で何とかなるのなら「義和団」の時点で自主独立を回復している筈です。

なのに毛沢東と言う「誤った選択」をしてしまうのですから何をかいわんやですが、「どうして間違った選択ばかりしてしまうのだろう」と言う問題意識が無い限り、国家は進歩しませんし、「長老」とその同志にその問題意識があって初めて、中国は救済の道を歩むことになります。

(続く)
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by 4kokintou | 2014-01-07 23:38

お見事、胡春華氏

流石は胡錦濤「長老」のお眼鏡に叶う人材、「団派本流の若大将」の異名を取るだけあります(小誌が勝手に献上しただけですが)、胡春華広東省党書記。

昨年12月29日、公安当局が「中国最大規模の覚醒剤の生産拠点として知られる」同省陸豊市の博社村を一斉捜索、村の党書記を初め幹部14名を182人を拘束、覚醒剤約3トンとその原料23トン、ついでに銃も九丁押収したとの由です。

この村(正式な行政区分は広東省汕尾市陸豊市博社村、日本では市町村が横並びですが、中国では市にも階級と言うか上下があり、その下に村があったりして煩雑を極めます)は「覚醒剤村」として有名らしく、国内で押収した覚醒剤の三分の一(2012年)が陸豊市産だそうで、今回の捜索で77か所もの製造工場が摘発されたそうです。

1万4,000人の村で人口の二割以上が覚醒剤の製造、販売に従事していたと報じられていますが、単に村を挙げて覚醒剤事業に勤しんでいた訳ではなく所謂「周知の事実」、上は国家主席から下は一般民衆まで、知らない方が珍しかったのではないかと思われます。

そもそも全体の3分の1を占める一大生産拠点なのですから、産地が分かっていて手が出せないのはそれが「聖域」だから、報復を怖れては摘発出来ません。

ですから胡春華党書記の度胸と決断力もさることながら、武装警察三千人を動員しての一斉検挙(ヘリコプターから船舶まで出動)は、胡党書記が広東省の権力中枢の相当部分を掌握していることを示すと共に、報復を恐れずとも良い程に「長老」陣営の政治力が強まりつつあることがうかがえます。

しかも1月3日の段階で邦字紙が一斉に事件を報じていますから、広東省の党宣伝部も党書記の制するところと理解して差し支えないと思われ、団派を初めとする「長老」陣営の連中は、広東省の生え抜き幹部に結構痛めつけられていますので(例えば旧正月時の大雪の際の温家宝首相=当時=とか)、「お礼参り」は尋常ならざるものになる筈です。

因みに「華僑の巣窟」潮州や汕頭はそんなに遠くないところにあるのが、陸豊と海豊を抱える汕尾市、中国産覚醒剤の「需給関係」を考える時に何時も気になるのが「需要の発生元」、ベトナム戦争当時はいざ知らず、やはり外需より内需が中心、とすれば共産主義中国建国から半世紀を経ても、覚醒剤(多分阿片でしょう)は根絶どころか官民に流布し、特に軍が一大消費市場になっているのが妥当と思われます。


「長老」陣営の押されっぱなしの反対勢力が突破口を見出そうとしているのが、新疆ウイグル自治区(テロ工作)と香港(「真の民主化」求め大規模デモ、香港の最高幹部は「長老」派)ですが、いずれも散発的の域を出ず、全面改革指導「小組」の組長に就任(奇しくも「覚醒剤村」摘発翌日の12月30日)した習近平国家主席の、空回りする姿だけが逆に浮き彫りになっています。

本来ならば「党が政府を指導する」のが共産主義の建前ですが、最近は国務院(の省庁)が共産党員を指導する事例が明らかになりつつあり、例えば財務省が共産党員に対し「研修と称して観光旅行に公費を使用することを禁じた」そうで、中国も大変だなあと思うと同時に、どうも党と国務院の力関係が逆転しつつある印象すら受けます。

その国務院を掌握しているのが「長老」陣営、李克強国務院総理を筆頭に副総理二名を輩出(定数4名)、国務院常務委員会は李総理が完全に掌握、習国家主席に口出しさせないどころか、日程も議題も告げずに議決している様子があります。


北朝鮮で大臣二名(石炭鉱業相、金属工業相)が更迭(粛清?)されたと言う記事には驚きませんが(ご存じの通り、粛清はまだ続くと張氏処分の段階で申し上げていますから)、湖南省の買収の一件には腰を抜かしそうになりました、これは「大きな政府」ではなく「水膨れした政府」だと。

湖南省人民代表大会常務委員会は、選挙の過程で買収があったことを理由に、省人代代表56名の当選を無効にしたそうですが、収賄側の同省衡陽市の人民代表大会代表512人の辞職も決まったとの由、衡陽市については何一つ存じ上げていませんが、どうして一つの市に500名以上の「人民代表大会代表」が存在するのか、人口が約10分の1の日本と比較して、定員50名前後の議会を有する市町村の規模は限られてきます。

世界第二位のGDP大国とは言え、一人当たりで言えば日本の数分の一、なのに「お偉いさん」の数は日本より多いと来れば、「疎外された人民」に対する税負担は相当なものにならざるを得ません。

中国に「最後の好機」は巡って来るのか、それとも「手遅れ」なのか、興味の持たれるところです。

(続く)
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by 4kokintou | 2014-01-06 22:59