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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

汪兆銘

中国側から言えば「漢奸」の一言で事足りるかも知れませんが、歴史或いは歴史上の人物を片言隻語で断罪できないとの立場を採る本誌としては、やはり慎重かつ合理的な検討を加えたうえで歴史的位置付けをすべきと考えたいです。

汪兆銘の位置付けはまだ決めかねていて、暗中模索の最中にあるのですが、調べていると様々な示唆と言うか、啓示とでも言うべき考えが浮かんできます。


例えば、汪兆銘自身は日本で最期を迎えましたが、日本の敗戦後、蒋介石は汪兆銘派(南京政府)の要人を徹底的に粛清、片っ端から処刑したそうです。

残った人物が共産党側に走って、それが最終的な中国共産党勝利の一因になったと言うのが、碩学宮崎市定京都大学名誉教授(故人)の見解ですが、その是非はともかく、共産党側に逃れた南京政府残党の連中は、姓名を変えています。

名前を変えねば、共産党側としては「漢奸」の残党は受け入れられないし、共産党が負けて国民党が中国統一を果たした場合、再び地下に潜伏するためにも、元の名前は名乗れないです。


中国人も韓国及び朝鮮人も、口を開けば「自分の国が最高」と言いながら、平気で姓や戸籍は改竄するわ、海外に帰化するわで、「言動不一致」が甚だしいです。

対照的なのは日本人で、自国のことをぼろかすに言いながら、大多数は海外への移住など微塵も考えていない、別に渡航は自由なのだから、その事情の如何を問わず、出て行くことは出来るのですから、今日本に残っている日本人と海外観光旅行中の国民は、ほぼ全員が日本で暮らすことに異論は無いことになります。


話を中国に戻して、宗族制度が確立しているにもかかわらず、改姓したり戸籍を付け替えたり、例えば陳雲の本名は廖陳雲ですから、その子孫が間違って「廖」さんと結婚する事態は有り得ないのか、他人事ながら心配になります。


ところで汪兆銘の遺体は棺に入れられたうえ、頑丈にコンクリートで固めて南京政府の許に送られるのですが、蒋介石はそのコンクリートを爆破させて中から遺骸を引きずり出し、灰にして捨てたとのことです。

何とも凄まじい出来事ですが、どうやら中国人にとって最高の処罰とは「死者に鞭打つこと」とみて、差し支えないでしょう。


ここで思い出されるのが周恩来、故人の意思で遺体は灰にされて中国全土に飛行機から撒かれたと記憶していますが、であるならばこの行為は、「周恩来が中国国民、特に旧宗族階級に対し、自らの遺骸に最大級の屈辱を与えることで謝罪した」と解釈することが出来ます。

文化大革命は、毛沢東(党及び裏社会代表)、林彪(軍及び軍戸代表)、周恩来(行政及び胥吏代表)が結託することが、その始まりの必要条件でしたが、この中で最も力が弱いのが周恩来であることは論を俟ちません。

胡錦濤現国家主席や温家宝総理等を匿ったのは、実は周恩来ですが、現執行部からすれば、周恩来の苦しい心情や、その温情に感謝しつつも、どうしても評価出来ない、あの時毛沢東と林彪の一味に加担しなければとの想いが、どうしても断ち切れないのです。

ですから現政権は鄧小平は勿論、劉少奇すら積極的に評価するのに、周恩来には触れない、つまり歴史的に「消化されていない」人物なのです、周恩来は。

(続く)

by 4kokintou | 2009-08-26 17:10
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