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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

水入り

米国も中国も粘り腰にかけては他の追随を許しません。

「ごーるどまん・さっくす」の司令塔ヘンリー・ポールソン元財務長官が海南島まで足を運んで、(おそらく)胡錦濤国家主席と激突しようが、胡国家主席の「私的全権特使」が米国に赴いてヒラリー国務長官と協議しようが、纏まらないものは纏まりません。

それでも協議を続ける点でのみ見解が一致、急遽「米中経済戦略対話」が5月9日と10日の日程で設定されました。

出席者は中国側が王岐山副首相と戴秉国国務委員、米国側もヒラリー国務長官とガイトナー財務長官で、双方とも顔触れに変わりありません。


一部報道によると、中国では製造業に減速の兆候が現れ、不動産価格の急騰も沈静化しつつある模様で、株式市場だけが高止まりしています。

胡錦濤政権側が譲れない一線は「江沢民一派を初めとする反胡錦濤勢力の一掃」、対するGSの主張は「中国における既得権益の保障及び再確認」で、理屈のうえでは折り合えますが現実には思い通りに事が運びません。


原因はヒラリー女史にあります。

GSの「大切な持ち駒」と言う側面もある人物ですが、この女性、大統領になりたいと言う「我欲」が強く、庇護者たるGSの利益よりも私益追求を優先して暴走する場合すらあり、ましてや国務長官として国益の増進に邁進する意識は更々ありません。

ですが表向きは国益の代弁者で無ければならず、その辺りの矛盾を中国側は読み取っていますから、譲歩の姿勢をみせません。

先日、温家宝首相が周小人中央銀行総裁を伴い、「習のお坊ちゃん」こと習近平国家副主席の「縄張り」である筈の浙江省に赴き、為替も含めた「金融政策手段を総合的に運用し、インフレ要因を取り除く」と明言しました。

日経によれば、利上げ支持派は温家宝総理と王岐山副首相、雇用重視派は李克強第一副首相らしいですが、真偽の程は別として、重要な経済の政策決定に副主席殿の名前が挙がっていないのが不思議です。

GSは「利権確保のためなら上海の盟友を切り捨てることも辞さず」、ヒラリーは「大統領になるための障害となる要因は一切認めない」との立場、相手の内部で疑心暗鬼を膨らますことは中国人の最も得意とするところです。

(続く)

by 4kokintou | 2011-04-21 14:20
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