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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

燃える重慶、燻る山東省、やがて現体制の常務委員会を襲う「粛清」

失脚した薄煕来元政治局員(雲南軍閥が後ろ盾の太子党)が図らずも吐露した様に、重慶における一連の施策、すなわち「民間部門を抑圧、搾取しつつ富を国営部門に強制移転させ、それを己を含めた太子党(子飼い部隊を擁する革命宗族)やその周辺での山分け」策は、諜報、公安、警察、検察、司法党を握る党中央政治局常務委員である周永康中央政法委員会(同時に推測が正しければ浙江省の領袖)の支持を得たものでした。

簡単に言えば「浙江省雲南省合作」ですが、その背後に間違いなく控えていると思われるのが上海閥(裏社会系成金、当然と言えば当然)、山東閥(現段階で首領不明)、陝西省軍閥(習近平国家副主席)、そして遼寧閥(李長春、党中央精神文明建設指導委員会委員長)です。

余談ながら、遼寧省と山東省は、北京からみて指呼の間にあります、住みたくないです、命が欲しいから。

そしてこのままですと、私兵の軍団を擁しながら「惜しまれつつ」勇退し、長老(或いは元老)と言う「絶対に失脚しない立場(常務委員時代の功績を勘案するとそう言う結論になります)」に、太子党の連中が収まることを、団派を含めた、胡錦濤国家主席とその同志達が許すかと言えば、力不足でなければ断じて否です。

そして次期政権の最高権力者(政治局常務委員序列第一位)が誰になるかは別として、胡国家主席や温家宝総理が絶対に手放したくない常務委員の序列と役職は、

第五位:党中央精神文明建設指導委員会(現職李長春)
第六位:中央書記処第一書記(習近平)
第八位:党中央規律検査委員会書記(汚職糾弾委員会、賀国強)
第九位:中央政法委員会(周永康)

ですからこの反胡錦濤勢力を形成する(賀国強を除く)三名と、呉邦国全人代委員長(第二位)、賈慶林政協会議主席(第四位)を、親胡錦濤集団は今秋(一部で延期説も)の全体会議と来春の全人代までには、必ず葬るとみるべきと思われます。


以下にヒラの政治局員を列挙しますが、革命宗族「太子党」と裏社会出身成金「上海閥」の衰退が見て取れます。


王剛:
曽慶紅系、してみると上海閥か、所謂「秘書畑」、政協会議に片足を突っ込んでいる。1942年生まれなので年齢制限で勇退。


王楽泉:
ご存知「新彊王」、地元は山東省、この人物かその上席の人物が「習近平の嫁さん」の後ろ盾と思われる。革命時に地元の革命委員会主任を歴任しているから、「裏社会系文革宗族」とでも言うべきか。
山東省の兵権はこの人物が掌握し、新疆ウイグル自治区は山東閥の植民地と化していたが、同自治区党書記は更迭され、現地の「屯田兵(その多くは山東省出身の子飼い部隊と思われる)も解体、多分「政協会議送り」も地元の威光は衰えていなかった。

ご存知の通り、今の中国の権力闘争は治安部門の席を巡って火蓋が切って落とされます。

山東省もご他聞に漏れず、同省党政法委員会書記(治安部門最高幹部)の更迭人事が発表されました。

順当に考えて、山東閥(と「公安の鬼」周永康)の影響力を削ぐことが目的と思われ、山東閥と上海閥(=裏社会系成金宗族)を叩くうえで一石二鳥です。

もっとも、重慶では党中央が送った団派出身の重慶市公安局共産党委員会書記が「瞬殺」で解任、現地の反中央勢力の根強さがうかがえます。


王兆国:
団派、共青団中央書記処第一書記としては胡国家主席の先輩、年齢制限で引っ掛かるが、何らかの処遇を受けると思われる。
この人物の履歴を読む限り、鄧小平が共青=旧宗族階級の理解者で最大の擁護者であることが分かる一方、胡耀邦と共に、胡錦濤国家主席と温家宝総理と言う雛鳥が無事に飛翔するための「捨石」になった感があり、この人物をそれに相応しい扱いをしなければ胡さんも温さんも人間ではない。


王岐山:
保守派の頑固親爺、姚依林の娘婿だから太子党と言う認識は短絡的過ぎると思われる。
国務院に籍を置いて副総理として日中「戦略的互恵関係」の窓口(胡国家主席直々の指名)、米中戦略経済対話では文字通り「鬼の門番」を務めているのだから、次期国務院総理(常務委員会序列第三位)が順当と考えられる。


回良玉、劉 淇、劉雲山、劉延東、李源潮、汪 洋、張高麗、張徳江、兪正声、徐才厚 、郭伯雄、、薄熙来については後述。

(続く)

by 4kokintou | 2012-06-12 13:48
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