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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

不思議の国、中国

小誌の記憶に間違いが無ければ中国は共産主義国の筈ですが、にもかかわらず商品先物取引所が全国に三箇所(大連、鄭州、上海)も存在し、見事に棲み分けているのですから苦笑を禁じ得ません。

それぞれの上場品目を列挙しますと、


大連:
トウモロコシ、大豆1号(非遺伝子組み換え品種)、大豆2号(搾油用)、大豆豆、大豆ミール、パーム油、ポリエチレン、ポル塩化ビニール、コークス、原料炭(3月22日上場)

鄭州:
硬質小麦、普通小麦、綿花、白糖、早生長粒米、高純度テテレフタル酸(PTA)、メチルアルコール、ガラス、菜種油、菜種油ミール

上海:
銅、アルミ、亜鉛、鉛、金、螺紋鋼(ねじ山鋼)、銅線、燃料油、天然ゴム、銀


そもそも共産主義国に商品先物市場が必要なのか、或いは先物市場が三箇所も必要なのか、ここから始めると頭が痛くなるので止めておきますが、一つだけ言えることは、分立させることで上海の立場が相対的に低下している事実は否めません。

それから先物市場に馴染まない品物も散見され、先物先進国の米国にも先物発展途上国日本でも見当たらない品々が少なからずあることは、中国の特殊性を加味しても違和感があり、要は取り扱い品目を増やして見劣りがしないようにと言う見栄の張り合いではないかと推測されます。

因みに3月22日上場の原料炭は、初日こそご祝儀買いが入りましたが、一ヶ月で12%以上の下落を記録し、鉄鋼業を初めとする中国の基幹産業が深刻な状況に陥っていることをうかがわせる結果となっています。


産経新聞などが鬼の首を取ったかのように、習近平国家主席の汚職撲滅指令が掛け声倒れで、摘発どころか限りなく怪しい人物の昇進や復職を伝えていますが、この国はヤマタノオロチみたいなもので、政治局常務委員と言う七つの頭があり、しかもそれが個別に動きますし、加えて引退した筈の長老連中が手足や胴体を動かしますので、「中国は一つ」と考えるととんでもない結論を導き出しています。

習国家主席の汚職撲滅発言にしたって、「子飼いの連中を除く」と言う但し書き付きですし、習主席を洟垂れ小僧扱いしている「小姑四人組(兪正声、劉雲山、張徳江、張高麗)」からすれば、やれるものならやってみろ、縄張りに手を出したらどうなるか思い知らせてやると思っているでしょうし、「鬼の王岐山」は胡錦濤「長老」の精神に則って、党中央紀律検査委員会党書記の職権を存分に活用して汚職摘発に邁進し、団派は李克強首相を先頭に勢力拡大に余念がありません。

因みに先日、党中央紀律検査委員会の要人が左遷されたそうですが、この記事を読んで思い出したのが孫文の権力に対する考え方で、西洋流の三権分立では足りない、中国には官僚を監督する監察権も必要だと主張していますが、「官僚を監督する官僚組織」は北宋時代から存在し、しかも「本来の官僚」と「監督官僚」は硬貨の裏表みたいなもの、其処に「談合」と「馴れ合い」は付き物です。

ですから孫文の発想は「北宋以降」の中国近世から一歩も出ていませんし、党大会において政治局とは別に規律検査「中央委員」を選出する中国共産党は、孫文の申し子以外の何物でもありません。

「長老」がここを死守したのも、他の人物がこの部署を握ると元の「馴れ合い」機関に逆戻りしてしまうからで、前任者の賀国強氏(前政治局常務委員)の時代から本来の職務に戻りつつあった同委員会を任せるに足る人物が王岐山政治局常務委員、その点を踏まえると「長老」の王氏に対する信頼の厚さがうかがえますし、来日時に「日本の窓口は王岐山副首相兼政治局員(当時)」と明言したのは、日中戦略的互恵関係を締結した当時の日本に対する、「長老」の最大限の厚意であり配慮だった訳です、岡田克也(敬称略)が無茶苦茶にしてしまったけれど。

「馴れ合い」を排し「純化」した紀律検査委員会の今後の「活躍」が見物です。

(続く)

by 4kokintou | 2013-05-29 19:44
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