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現代中国考


現代中国に独自の観点から考察を加えます
by 4kokintou

眺めていて飽きない国

薄熙来元政治局員(元重慶市党書記)が法廷で条件闘争を展開、大連市幹部時代の容疑についてのみ頑なに否認しています。

これはおそらく、小誌で言うところの「遼寧省、大連閥」に対する意思表示で、敵方に「動かぬ証拠」を渡されたくなければ俺様を後方支援して助けろと言う意味だと考えられますが、この派閥の長は李長春「長老」(前政治局常務委員、元党中央精神文明建設指導委員会主任)、それとこの人物に近い周永康「長老」(前政治局常務委員、元党中央政法委員会書記)と共に、最近になって失脚説が散見されていますから、元政治局員を救済するどころの騒ぎではないでしょう。

金融界に目を向けると、招商銀行に続いて同じく準大手の交通銀行の不良債権額が17%増、一方で誤発注をやらかした光大証券は総裁が辞任、水面下での動きが活発化している様子がうかがえます。

それから汚職疑惑の華潤電力、炭鉱投資で批判の矢に晒されていますが、取得価格が採算の合わない水準に跳ね上がるのは当たり前、皆が「抜いて」いますから。

中国に限らないのですが、採算性と言う概念が希薄と言うか、「投資」はその組織の利潤を増すための行為ではなく、それを通じて「私利私欲」を満たすための手段に過ぎず採算性は二の次、「投資」の規模は大きければ大きい方が良いと言う結論になります。

ただ分かっていないのは「資本主義はその原則を犯す者に必ず報復する」、共産主義国家を称しながら「社会主義的市場経済」、分かりやすく言えば「中国共産党商店」を唯一の窓口とする資本主義を採用している以上、必ず無理が生じてそれに耐え切れなくなります。

団派とその周辺が強行しようとしているのは、政敵を葬ることで肥大化した中国経済の贅肉を削ぎ落す(=敵方企業と地方政府、それに金融機関を整理する)「ソフト・ランディング」(ハードの間違いではありません)で、それに対し死にもの狂いで抵抗する連中は、究極的には「ハード・ランディング」を選択していることになります。



「上海自由貿易試験区 改革を新たな段階に」との記事が人民日報に掲載されていますが、上海で今更、自由貿易の「試験」もないだろうと言うのはおそらく皮相な見方で、これは胡錦濤「長老」陣営の上海制圧のための拠点、具体的には浦東新区に象徴される上海閥の根城を「枯らす」ことが、この試験区とやらの使命かと思われます。


終戦記念日が近づくと第二次世界大戦の惨禍を取り上げる国内報道機関は、何の疑問もなく犠牲者(戦没者)は310万人と語っているが、この数字は伸びたり縮んだりしません、絶望的な局面の戦時下にあっても戸籍が整備され人口統計が正確だったからです。

戦死者(軍人)は230万人、過半数が餓死者だったと言いますから言葉もなく、民間人の80万人はその殆どがサイパン陥落以降、もっと絞れば硫黄島失陥に伴う、原爆を含む主要都市への大規模波状爆撃による犠牲者と推測されます。

岡崎某なる外務官僚出身の評論家を小誌が蛇蝎の如く嫌うのは、日露戦争時の国民は無知だったと言わんばかりのことをその著書に記したり、都合の悪い存在である松岡洋右については軽く触れるだけ、申し訳ないが日露戦争時の日本は「近代国民国家」だったので、戦死者の家族への通知と言う形で究極の個人情報が公表されていたのですから。

だから日露戦争の戦局は戦場に赴かなくとも家族のみならず地域社会が実状を把握していますし、それは日本国民が共有していることを意味します。

従って断じて当時の国民は無知でも蒙昧でもなく、「武士の戦い」で同時に「近代夜明け前」だった戊申戦争の時期と異なり、日本は「近代国家」なのですから、国民が「近代」が強いる負担の大きさに呻吟しながら戦っていたのです。

クワウゼヴィッツが訴える様に戦争は外交の延長線上にあるのであれば、過日の大戦の敗北には外務省も少なからず糾弾される立場にあると思われ、のほほんと「軍部の横暴と暴走」を槍玉に挙げるのは責任回避以外の何物でもありません。


横道にそれましたが、先の大戦時の民間人犠牲者を「最大1,000万人」とする中国や、「700万人以上」と称する旧ソ連は、見かけ上は如何におどろおどろしくとも所詮「前近代(ソ連は「半近代」でしょうか)」、戸籍が国家経営の基本であることは言うまでもありません。

ですから旧ソ連は一瞬たりとも超大国ではなかったし、中国も超大国はおろか大国にすらなれません。(国土面積は別として)

中国の戦死者(軍人)は132万人(こちらはやけに細かい)、仮にこの数字を信じるとして、では日本軍の犠牲者はと言えば、満州事変から敗戦の約15年間を通して10分の1が精々ではないか、そんな印象を持っています。

追伸

国内の右翼(右派?)の皆様へ。

所謂「ヘイト・スピーチ」をやっている暇があるのなら、中韓両国の反日映画・番組を集めて編集し(お互い様、版権も印税も無視)、「お笑い中韓反日選集」なんて作品を作成しユーチューブか何かに載せれば良い、国民感情も一気に同情的になるし、両国民の思考経路と本音が一度に理解出来るし、「職業保守」櫻井よしこ女史はやらないから、安全地帯にいますから、「職業左翼」の菅直人(敬称略)と同様に。

(続く)

by 4kokintou | 2013-08-23 19:07
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